ポートランドのコーヒー
スターバックスが全米に広まる以前から、ポートランドでは、独立系ロースターや小さなカフェが世界中から取り寄せたコーヒー豆を使って、おいしいエスプレッソやカフェラテを出し、ローカルのコーヒー文化を築いてきました。マグ一杯のコーヒーには、この街の豊かなコーヒー・ヒストリーが含まれているのです。
ジム&パティーズ・コーヒーJim & Patty’s Coffeeでは、スパイシーなハバネロ・モカやピーナッツ・バター・ファッジ・モカ等、独創的なコーヒー・ドリンクをオーナー自らが作り、古くからのファンの根強い支持を得ています。ジムとパティーは1983年から1998年まで存在した地元チェーン「コーヒー・ピープルCoffee People」の元オーナー。現在、コーヒー・ピープルは別の経営下で、ポートランド空港内に出店しています。
そしてコーヒー・ピープルの松明を受け継いだのが、あのスタンプタウン・コーヒー・ロースターズStumptown Coffee Roasters。オーナーのデュアン・ソレンソンがSEディビジョン・ストリートにコーヒーハウスをオープン。コーヒー豆の独自の調達ルートを開発、焙煎、販売しはじめ、ポートランドのコーヒー文化を大躍進させました。現在、複数の店舗を持ち、他のコーヒー店にも豆を卸しています。コーヒー豆産地の農家の生活を支える買取値段を設定し、トレーサビリティとフェアトレードを徹底しています。もちろんコーヒーの味は保証つき。ケメックスChemexを使ってハンドドリップで一杯ずつ入れるコーヒーや、エスプレッソ、ボトル入りの水出しコーヒー「コールドブルー」など、いずれの商品でも、コスタリカ、エチオピア、インドネシアなど産地別の豆の特徴を引き出しています。家庭で楽しめるよう豆の量り売りもしています。
コアバ・コーヒー・ロースターズCoava Coffee Roastersは2008年、オーナーのマイケル・ヒギンズの自宅ガレージが始まり。今ではサウスイーストの自社焙煎所に隣接するコーヒーバーで、さまざまなコーヒーをテイスティングできるコーヒーセットも提供しています。2009年オープンのハート・ロースターズHeart Roastersではアエロプレスという器機を使って、正確なタイミングと分量で1杯ずつ理想的なコーヒーを仕上げています。イーストサイドの本店ではアエロプレスの使い方を見ることができます。
ウォーターアベニュー・コーヒー Water Avenue Coffee は2009年に開業しましたが、創業者のブルース・ミレットはそれ以前にも全米スペシャリティ・コーヒー協会の「コーヒー指導者」として、コーヒー業界で長く活躍してきた人物です。息子のマット・ミレットとともに、2003年にバリスタ&コーヒースクールを創立しています。
バリスタBaristaはポートランドの人間観察にぴったりのカフェ。2店舗があり、さまざまなロースターの豆で巧みに淹れたエスプレッソを提供しています。ケース・スタディ・コーヒーCase Study Coffeeはエスプレッソのケータリング会社として始まりました。今では市内に複数ある店舗で少量ずつ焙煎したコーヒー豆と自家製シロップを使った価値ある一杯を味わえます。
ポートランドには、店主のコーヒーへの愛と好きなものを融合させたユニークなお店があります。たとえばデッドストック・コーヒーDeadstock Coffee & Galleryはスニーカー愛好家カルチャーとバスケットボールの歴史がテーマの店。気取らない雰囲気でコーヒーを味わいながら、レアなエア・ジョーダンやNBAグッズのコレクションを眺めてひと時を過ごすことができます。ジェットブラック・コーヒー・カンパニーJet Black Coffee Company は観葉植物とパンクロックの店。店名やブレンドコーヒーの名前はパンクバンドJawbreakerから命名。森の中にいるような店内でエスプレッソとヴィーガン・ペストリーをどうぞ。